グノーブルの小論文

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グノーブルの小論文
−“知の力”を存分に発揮できる魅力的な小論文を書くために−
小論文担当 中村 一郎   




はじめに〜小論文とどのように向き合うか


小論文は入試直前で何とかなるとか、国語の記述問題は得意だから大丈夫だというような考え方はおすすめできません。

Q:小論文の授業を受講する生徒はどのような大学、学部志望が多いのでしょうか。
 グノーブルに通う生徒で小論文が入試で必要となるのは、医学部を目指す方と、国語の代わりに小論文が課される慶應義塾大学の文系を志望される方がほとんどです。
 高校の3年間では、まず英語や数学などの教科の学習が優先されるのは当然です。ただしそうはいっても、上記を志望するような生徒の場合、小論文は入試直前で何とかなるとか、国語の記述問題は得意だから大丈夫だというような考え方は、後述するようにおすすめできません。
 小論文を課される生徒にとって、今後どのように小論文と向き合い、受験で必要とされる力を身につけていくべきかについてお話ししたいと思います。 

小論文のカリキュラム


高校3年生の春期講習の「小論文Prime」で「どのように書くか」を学び、その後1年間かけて「何を書くか」を学んでいきます。

Q:小論文の授業は、新高校3年生(2年生)の冬期講習で開講する「小論文Basic」からスタートしますね。
 はい。連続した授業としては、高校3年生の春期講習から開講することになるのですが、それが開講するまでの準備期間の取り組み方などを伝えるため、新高校3年生(2年生)の冬期講習に「小論文Basic」を開講しています。
 「小論文Basic」では、2日間の講座ということもあり、実際に小論文を書くのではなく、その前提となる何を(What)、どのように(How)書けば良いのかを俯瞰的に理解してもらうことを目的にしています。
 また、小論文に取り組むにあたり、そもそも文章がしっかり書けないという状態だと改善するまでにどうしても一定の時間がかかります。したがって、まずその点について自分が一定の水準に達しているかを見極めることも大切です。この見極めのタイミングとしても高校2年生の冬期講習に小論文入門を開講しています。
Q:高校3年生の春期講習の「小論文Prime」という講座から本格的な小論文の学習が始まるのですね。
 先ほどお話しした通り、小論文に取り組むにあたっては、何を書くか(What)と、どのように書くか(How)という2点をまず分けて考える必要があります。「小論文Prime」では春期講習の4日間で小論文を書く上での基本となる、どのように書くか(How)の点を集中して学習します。
 具体的に言えば、一文は短く書くとか、主語と述語を結び付けて書くというような一般的なことから始まり、ある程度の長さの論述であればまず自分の意見の全体的なまとめを最初に書いて、具体的事例をそれに続けるとか、さらに問題提起、発展的解決策によって展開させていくなど、形式的なことを学びます。
 「小論文Basic」でもこれに類することを学びますが、「小論文Prime」では学習したことに基づいて実際にある程度の長さの文章を書き、添削までを行います。
Q:春期講習の「小論文Prime」の内容が今後の学習の基本となるわけですね。
 4月からの授業の中で、何を書くか(What)を学習する上で基礎となる部分になるため、「小論文Prime」は小論文受講者の必須講座となっています。
Q:4月からの授業のカリキュラムについて教えてください。
 4月から7月の夏期講習開始前までと、9月から12月の冬期講習開始前までの2つの期間を使って、以下の4つのテーマを2回ずつ取り上げながら学習していきます。
期間 テーマ
4〜7月 人文科学系@:(全3回)
経済学系@:(全4回)
法学系@:(全3回)
医歯薬看護系@:(全3回)
9〜12月 人文科学系A:(全3回)
経済学系A:(全4回)
法学系A:(全4回)
医歯薬看護系A:(全3回)
※人文科学系…文学部・教育学部・総合問題など
※経済学系…経済学部・商学部・環境情報学部・総合政策学部など
※法学系…法学部・総合政策学部など
注:@とAとは別の授業ですが、連続した内容です
Q:これらは生徒によって必要なテーマごとに受講することもできるのでしょうか?
 はい、可能です。もちろん志望校にかかわらずすべて受講していただいてもかまいませんが、例えば、慶應義塾大学の文系志望の生徒なら、「医歯薬看護系」以外のすべての受講が望ましいなど、志望校に応じておすすめしている受講テーマもあります。
Q:夏期や冬期などの講習中はどのようになるのでしょうか。
 夏期講習と1、2月の直前講習は「文系小論文」と「医学部小論文」を、冬期講習は「文系小論文」を開講します。講習期間は演習中心の授業となります。

小論文の授業について


小論文は自分の意見を書く場ではありません。むしろ、自分の意見を控えることが必要なときさえあるのです。

Q:授業の内容はどうなのでしょうか。
 4月以降の授業については、何を書くか(What)について深く掘り下げて授業を展開していきます。
 例えば、5月頃を例にとると、経済学系のテーマを取り上げています。経済というのは、個人個人が幸福を望んで行動するのが出発点ですが、しかし社会全体の利益という視点も必要になります。ところが、あまりに全体を重視すると共産主義まで行き着いてしまうので、一般的には個人と社会のバランスをどうとるかが古来から問題になってきました。
 こうしたことに関連した内容について自分の考えを述べよ、という小論文が出題された場合、ただ単に自分の考えや感じたことを書いただけでは価値のある答案にはなりません。
 そこで、授業では問題となっている事柄の背景や現代の知的潮流への理解を目指すことになります。様々な考えを咀嚼した上で、例えばジョン・ロールズという伝統的な哲学者の考えや、最近では現職のアメリカ大統領の発言などを引用しながら、論を運ぶことで説得力のある文章が書けるようになっていくのです。
Q:国語的な力と同時に様々な知識も必要なのですね。
 確かに良い小論文を書くためには、国語の力に加えて倫理や現代社会、政治や経済という社会科の力も必要です。
 以前、世界史が大好きでとてもよくできる生徒がいましたが、どんなテーマであっても具体的な事例として歴史的事実を引用し、興味深い内容を書いてくれていました。
 しかし、こうした特別な例を除くと、やはり一つひとつのテーマを深く理解するだけでも一定の時間がかかり、自分で掘り下げて考えることではじめて理解できることも多いものです。仮にこうしたことを、春期講習の間だけ、とか入試直前だけ取り組んだとしてもとても間に合いません。かといって、普段自分で勉強できるかというと、そんな時間もなかなかないものです。
 だからこそ、継続した学習によって最後の一年間で仕上げるというのがグノーブルの小論文の考えです。
Q:しっかりとした答案が書けるようになるためには、一定の時間がかかるのですね。
 生徒からは、学校の先生に相談すると直前でも大丈夫と言われるとよく聞きます。小論文は、教科としては一般的に国語に入ることが多いので、高校でも国語の先生が指導される場合が多いと思います。
 しかし、グノーブルで取り上げているテーマを見ていただければわかるように、志望校によって多少絞り込みが可能だとはいえ、社会科や文系であっても化学、生物などについての幅広い教養があってはじめて思わず惹き込まれるような、魅力あふれる小論文の答案が書けるようになります。ここまでの対応を国語の先生に求めるのは少し難しいのではないでしょうか。
Q:思わず惹き込まれるような、魅力あふれる小論文の答案とは、どのようなものなのでしょうか?
 これは結局どの教科でも同じことが言えるのですが、採点している大学の教官に、知的な素養があるということを認めてもらえる答案ということになると思います。
 先ほど触れたように、小論文は自分の意見を書く場ではありません。むしろ、自分の意見を控えることも必要だと話すこともあります。
Q:「自分の意見を控える」べき場面とは具体的にどのような場合でしょうか。
 例えば東日本大震災後の2012年の授業の際、慶應義塾大学志望の生徒に、もし原発問題が出題された場合は、安易に原発反対と書いてはいけないと話しました。今でこそ多様な議論があたりまえに行われていますが、当時はまだ世の中全体が事故を消化しきれていない、恐怖の感覚の方が先に出てくるような時期でした。
 しかし仮に気持ちとしては絶対に反対であったとしても、原発によって周囲の雇用問題が解決されている点や、将来のエネルギー政策の点など経済的、社会的な面についても考えを巡らせる必要があります。単なる印象に流されず、こうした様々な点を踏まえた上で賛否を述べるように指導していたところ、その年の経済学部の入試に本当に出題されました。合否は小論文の出来だけで決まるわけではありませんが、その年の受講生は全員合格しました。

現代の高校生の暮らしと社会問題のギャップについて


誰か一人の面白い着眼点の発言を聞いて、みんなが「おおっ」となる瞬間は、他の生徒にとっても講師の私にとっても大いに刺激になります。

Q:現代の高校生にとって、そうした社会的な問題の理解は難しいのではないでしょうか。
 今に限らず昔であっても、高校生の日常と現代の社会問題や知的潮流には少なからずギャップが存在します。
 ただしグノーブルに来ている生徒たちの多くは、知的興奮というものを忘れていないと思っています。いろいろな話題に触発されて、自分で興味を抱いて調べてくれるようなことは多くあります。むしろ高度な話の方が喜ぶ傾向にありますし、面白いという声が上がります。だからこそ、ちょっとしたきっかけを与えることで、こうした気持ちを掘り起こしてあげたいとも思います。
 そもそも高校生というのは様々な点で急速に伸びる時期です。中国のことわざに「男子三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ」というのがありますが、これはもちろん「男子」に限らず、この年頃の子どもたち特有のことだと思います。
Q:いろいろなことに触発されて伸びていく生徒にはどのような特徴があるのでしょうか。
 印象では医学部系の生徒が多いように思います。医学部を目指すととにかく勉強量が膨大になり、覚えることや問題を解くことに時間を費やすことが多くなりがちです。そうした生徒がニュースなどに触れたり、現代社会の問題点に気づいたりすることで、自分には何ができるのだろうか、世の中の役に立てることがあるだろうかと考えるようになるのだと思います。
 こうしたこともあるので、通常授業ではまず最初にニュースの話から始めます。ある程度最近のニュースについて生徒たちと対話したところで、全員にこの1週間で気になったニュースに対して問題点を提起して解決策を書いてもらう、ニュース小論文という取り組みを行っています。
Q:かなり様々なニュースが取り上げられるのでしょうね。
 「君が気になったニュースは何かある?」というように発問しながら進めるので、多くの生徒は最近のニュースを取り上げるのですが、時に思いがけないものを提案する生徒もいて、盛り上がります。
 演習以外の多くの時間はこのように、対話をしながら進みますが、こうした方法が一番、生徒の知的好奇心をくすぐるやり方だと感じています。生徒から面白い着眼点の発言を聞いて、みんなが「おおっ」となる瞬間は、他の生徒にとっても、講師の私にとっても大いに刺激になります。
 このニュース小論文は、現代社会と自分たちの暮らしの結びつきを意識してもらうためにも、必要な作業だと思っています。毎年の合格者の声にも、この取り組みによってニュースを見る目が養われた、変わったという意見が掲載されています。

高校1・2年生が意識しておくべきこと


知的好奇心に火がつくような学習経験を積み重ねることが、小論文の力を伸ばす礎になると思っています。

Q:小論文の授業は本格的には高校3年生からしか受講できません。1・2年生に向けて意識しておいてほしいことはありますか。
 高校1・2年生の間で、小論文のために何か特別なことをする必要はありません。他の教科をきちんと勉強してほしいということに尽きます。そのことが、その後の小論文に活きてきます。
 化学や物理に関する事柄について、現代の問題に関連して考えられるような知的な見方ができるようになるためには、しっかりとした基礎的な知識が備わっていないと無理でしょう。英語を学習するにあたっても、英語の文献を読んで英米文化や、その背景となる習慣や宗教観を知ることなどができますが、それは異文化理解という大切な視点の獲得につながります。
 受験前の1年間でしっかり小論文の力をつけるためにも、また最後の1年で慌てないためにも、高校1・2年生のうちに基礎学力をしっかり身につけてほしいと思います。
Q:発見の歴史に沿って学ぶグノーブルの物理は小論文の力をつけることに役立ちそうですね。
 歴史に沿って学ぶということは、物理を単なる暗記でなく、つながりを考えて学ぶことになるので、自分の教養としても身についていくと思います。
 物理に限らず、グノーブルの他の各教科に共通している、背景となる事柄の理解を重視したり有機的な知識の獲得を目指すという姿勢は、小論文の力を伸ばすという点でもとても有効な学び方です。
 また、そうした学習を通じて、生徒たちの知的好奇心に火をつけることが一番大事なことです。そうすれば、生徒たちは自然に伸びていけます。そのきっかけを作るのが、グノーブルの教科の垣根を越えた方針であると言えるでしょう。
 手前みそになってしまいますが、こうした学習経験を積み重ねることが、小論文の力を伸ばす礎になると思っています。



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